第15回コンテスト最優秀賞


「桜の家」
その家を思うときは、桜の花を思い浮かべます。家の周りを桜の樹が囲んでいること、そして基礎工事の前年に敷地の真ん中にあった桜を、移植した玄関前で今年も花を付けたこと。
小高い小田の森を背に建てた住宅は、濃い色に塗装した杉板と白い塗り壁の外壁のコントラストが五月の空に映えます。
ご夫婦は伝統的な建て方の住宅が希望で、私どもに依頼されました。
欅の大黒柱、栗の土台とウッドデッキ、赤松の太鼓梁、無垢材の床板・天井板、真壁で漆喰塗。
大口径の松梁や大黒柱と対峙するとき、大工は覚悟を持たないと材料の大きさに吞まれてしまいます。自然に対しての畏怖の念を忘れないことで、木材の命を活かしてゆく建物になると信じています。
職業柄、数多くの新築住宅を見る機会のあるご主人から期待されることは、大変な誇りと同時にプレッシャーにもなりましたが、ご夫婦の思い描いた暮らしを、一つ一つ形にできたと思います。
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